障子で省エネ

窓が熱の出入り口に

夏の暑さや冬の寒さってどこから家に入ってくるでしょうか?
だいたいですが、熱の4~5割は窓から出入りしているのだそう。
特に日本の家って、出入りできる「掃き出し窓」が多かったりするので、欧米に比べると窓の面積がとても大きい。

そこで「省エネ性能は窓で決まる!」ということで、窓を減らしたり、小さくしたり、ガラスを2重、3重にしたり、窓枠をアルミじゃなくてプラスチックに・・・等、設計の人も、メーカーも数値を競っています。

でも、大きな掃き出し窓をペアガラスに替えたところ、「重くて開けにくい」と言われることも。
ガラスが約2倍になるんですから、それは重くなりますよね。

軽くするには、本物のガラスではなくて、プラスチック製の「樹脂ガラス」を使う方法もあるのですが、石油由来のプラスチックをどんどん増やすことになってしまうし、それらがゴミになったときのことが気にかかります。

自然素材で効果実感!「和紙障子」

そこでおススメなのが、「和紙の障子」を入れること。
「え~?紙でしょ?省エネに効果あるの?」
実は障子の効果は、国の示した「省エネ基準」でも認められています。
たとえば、数字が低いほど省エネ性能がいいことになる「熱貫流率」で見ると、
あるメーカーのペアガラスの樹脂アルミサッシは2.33ですが、これに紙障子を入れると1.98に性能が上がります。

何より体感できるのが、「窓際の冷気」が激減すること。
窓にカーテンをする場合、上下左右に隙間がたくさん空くので、窓からの冷気を防ぐことが難しいのですが、障子は隙間がとても少ないので、冷気をカットしてくれているなーと実感できます。

「エアコンで室温はちょうどよいはずなのに、なんだか窓の近くが寒い・・・」そんなことを感じる人は、障子がおすすめです。

数字だけでは満たされないもの


ところで「障子は和風」というイメージですが、先入観を捨てて、こんなデザインも・・。

梅の木をモチーフにしたデザイン(デザイン施工:イトウタカシ木工房)

こちらはマンションのリビングルーム。後付けで鴨居と敷居を作って、障子をいれました。
アルミサッシからの熱をカットできるだけでなく、見た目も木のぬくもりある窓辺に。

省エネの数値をクリアするのは、これからの時代とても大切なテーマだと思っています。
でも、それだけじゃ何だか家づくりがつまんない・・・。
数字を満たすことと共に、ココロの満たされるような暮らしが生まれるきっかけになるといいなあ、と思いながら設計しています。