薪ストーブと省エネ住宅のこと

薪ストーブが評価されない「省エネ住宅」って?

家に薪ストーブを取り付けて、電気やガスを使わないで暖房しても、省エネ基準では全く評価されていないってご存知でしょうか?
実際に使っているのに評価しないという省エネ基準には納得がいかないので改善してほしいと思っています。その理由を書いてみたいと思います。

国内のエネルギーの消費量が増えている中で、建物の省エネルギーを進める目的で作られたのが国の省エネルギー基準です。
具体的には「建物の断熱性をアップして、省エネ性能の高い器具を使いましょう」ということで、細かい計算方法が決められました。一般住宅ではまだ適合義務はないのですが、2025年からは適合が義務付けされます。

例えば、薪ストーブで暖房、夏はエアコンで冷房する計画にした場合、冷暖房器具を選ぶのですが、選択肢に薪ストーブはありません。それだけではなく、ペレットストーブもない。
皆さんがよく使っているコタツや、持ち運べるタイプの灯油ストーブや電気ストーブも選べません。

選択肢にない器具を使う場合は、「その他の器具」というのを選択するのですが、そうすると自動的に「それほど高性能でもないエアコン」と同じだけ電気を使うという計算になります。

または、「暖房器具を使わない」という選択肢もあるのですが、それでも「その他の器具」と同じように電気を使う計算に。

これで省エネ基準をクリアできたとしても、実態とは違う家になってしまうのです。

実態に合った評価に

国土交通省では、
”薪ストーブについては現状評価対象となっておりませんが、本報告案において、「現在評価されていない省エネ技術の評価方法の整備を図る」とされており、評価方法の整備を図る際の参考とさせていただきます。”
と、何年も前から報告書には書かれ続けていますが、今のところ実現していません。

これはおそらく薪ストーブが少数派なのと、薪の燃え方によって性能が変化しやすいというのも評価しにくい理由なのかもしれません。でもペレットストーブはある程度性能がわかるはずなのですが・・。

元々この法律は経済産業省が先導して作ったので、大手メーカーのない薪ストーブやペレットストーブはあまり目が届いていないのでは、と想像しています。
それにしても、コタツや持ち運べる灯油ストーブを使っていても使っていないことになってしまうような基準には違和感を感じます。

薪は木が育つ間に二酸化炭素を吸収しますし、薪ストーブは運転時に電気やガス、石油を使わないし、輸送する時も地産地消であれば、輸送エネルギー消費が少ないのも明らか。
発電から送電、消費にエネルギーを使うエアコンと同じ扱いではなく、実態に合った選択肢を作る必要があると思います。