土間と庭と古いモノを愛でる家

築40年程のこの家には、大事に育ててきた庭がありました。
蓮の花が咲くころには、光る水面を見つけて、シラサギが舞い降りる、そんな素敵な庭。
玄関は庭に面しているのですが、ドアを閉めると庭が見えなくなっていました。

そこで玄関をすべて土間にして、庭に続くテラス窓にしました。
テラス窓はサッシをカモフラージュするため、古い木の格子戸や欄間でカバーしました。
位置を変えた玄関戸は、土間の雰囲気に合わせて古い蔵戸をご家族と一緒に選びました。


古風な感じの玄関に合わせて、リビングは腰板を自然塗料で古い感じの色に。
床は無垢の栗の木。はじめのうちは少しざっくりした風合いなのですが、
数年経つと落ち着いた艶が出てきて、表面が滑らかになってきます。
自然塗料で軽く着色してありますが、時間が経つと自然にこんな感じの色になります。

一方キッチンは、木の色をそのまま生かしたオリジナルのキッチン。

横長で低い窓を背の高い上げ下げ窓にして、天井近くの高い位置から手元まで、明るい屋外の光が入るようにしました。北向きは暗いというイメージがあるようですが、太陽の動きと関係なく安定した明るさが確保しやすいという良い面もあります。
木そのままの色を活かした蜜蝋ワックス仕上げの扉やカウンターと、鮮やかな青タイル。
「プロバンス風キッチンにしたい」というご希望で、フランスの田舎のキッチンのよさって何だろうと考えたところ、きっと使い込むほどいい感じになってきて愛着の湧くところなのでは、と思いデザインしました。

そう考えると、玄関土間も、このキッチンも、和洋で正反対に見えて、実はテーマが同じだったような気がしています。