レトロなマンションを自然素材でリノベーション
築53年(1968年築)のマンションです。
昔懐かしいタイルのトイレやお風呂場や砂壁の和室でしたが、53年となると再利用できる状態ではありませんでした。特に風呂やトイレのタイルのヒビは、下の階へ漏水の心配もありました。
今回は、ケミカルに敏感な依頼主ご家族の住まいということもあって、匂いのもとになりそうなものすべてを撤去。
スケルトンの状態から生まれ変わらせることになりました。
築年の古いマンションは床下の造りがポイント
最近のマンションは2重床になっていることが多く、床下に排水管や給水管、ガス管などの設備配管のスペースがあるのですが、築40年とか50年になると、床下が少ししかない状態か、床下がないコンクリート直床の場合もあって、床を上げないと配管スペースが取れないことが多いです。
大きく水回りの位置を動かそうとすると、配管のために床を高くしなくてはならず、その分部屋の天井が低くなってしまうことも。
古いマンションの場合は、できるだけ水回りの移動を小さくするのが無駄にコストをかけないポイントです。
「対面キッチンにして子供を見守りながら家事をしたい」
「ゴロゴロできる和室が欲しい」
「独立した子供部屋も」
「コロナで洗面台を使うことがおおいので、脱衣室と分けたい」
「収納が苦手なので、十分な収納を確保したい」
「南北の風が抜けるようにしたい」
「光が奥まで届くような空間」
依頼主さんの夢をかなえるべく、いくつかスケッチプランを重ねていよいよ着工です。
スケルトンにしたところ 床下地も杉板です。
スケルトンにしてみると、やはり床下スペースは少ししかなく、コンクリート床も水平になっていませんでしたが、想定内でしたので、プラン通りに工事続行。
一般的にマンションの床下地は、合板やMDFといった接着剤で固めたパネルを使うのですが、ケミカルなものをできるだけ使わないため、下地を無垢の杉板にしました。
完成写真
床は無垢の杉板、壁は土佐和紙です。扉はすべて杉の無垢板戸に。
部屋の奥まで外の光が届くよう、リビングの天井は光を反射しやすい白い色をチョイス。
手洗いはリビングの一角に。木の格子をいれることで、柔らかくエリアを区切りました。
対面キッチンからリビングが見渡せ、外の緑も楽しめます。
キッチンの後ろの引き戸を開けると個室につながっていて、個室の窓を開けると南北に風が抜けるようになりました。
和室は小上がりにして、引き出し収納を作りました。奥に深くなっているので、中仕切りを。奥には季節ごとに使うもの、手前はリビングで使う子供のおもちゃとかも入ります。
小上がりにすることで座敷に腰かけたり、そのままゴロンと横になったり。
玄関床のタイルは、元々あったもの。レトロな雰囲気が自然素材の内装と合うので残しました。
こちらのマンションは全戸で窓はペアガラス、玄関ドアも新しいものに交換してありましたので、断熱対策のコストを抑えることができました。